ご挨拶
中川 仁
本学大学院応用言語学研究科が設置され20数年が経とうとしています。その間、博士の学位取得者(甲種33名、乙種8名・2022年3月までの累計によるもの)及び修士の学位取得者(283名・2022年3月修了生を含む)とその数を増やしてきました。そしてその修了生たちは、大学をはじめとする学術界及び社会において、大いに活躍をしております。
そして研究科長も小池生夫先生、原口庄輔先生(2012年6月7日にご逝去されました)、遊佐昇先生、大津由紀雄先生、高野敬三先生へと受け継がれ、今年度からは私(中川仁)が、その任にあたることになりました。本学における大学院の存在は、学部(外国語学部日本語学科、英米語学科、中国語学科)の基礎教育を修め、更なる学問的な領域を探求していくことを主眼とし、研鑽を積むための大学院として設立されております。また日本における「応用言語学」の嚆矢としての役割と重責を果たすための学術及び研究機関としての使命もあります。
本研究科では言語を根幹とした言語教育における研究、言語学における記述研究をはじめとする認知言語学的な研究なども含み、最新の言語研究を基礎とし、言葉と文学との関係性やそれに関わる文化的な諸要因などを網羅する言葉とその周辺との関わり合いのなかで育まれる言語文化の実態などを実証的にしていくことを研究の基本としております。「応用言語学」という分野において、その研究の一角を担う、人間が生活をしていくなかで育まれてきた様相を言語文化という視点で捉えていくことを重要視し、本研究科は今後も存在していかなければなりません。そのためには、教員の研究成果はもちろんのこと、院生諸君の日ごろの研究の成果をも実践的に捉えて、みていかなければなりません。それこそが学術的な発展のために機能していく、本研究科のありかたなのであります。
研究とは先人の思いや考えを検証していくことやそれを具現化していくことをも視野にいれつつ、そこから新たな発展を示唆する研究を本研究科では、探究するという視点で研究に取り組んでいく姿勢を新たにしていかなければなりません。
私は、本研究科の存在を、言葉の研究のみならず、文化的な発信基地であってもらいたいと願っております。また言葉の学びと研究は、人間社会における文化的な水準を上げ、より良い社会への営みへと繋げていく原動力であるとも考えております。これらの思いを、この研究科で実践し、新たな研究機関として、研究を具現化するために、精進していかなければなりません。
私たちの応用言語学研究科では、つねに自由な発想と考えをもち、日々の研究を怠らない姿勢で進めていく所存であります。